歩行瞑想が続かないのはなぜ?挫折を防ぎ継続するためのヒント
歩行瞑想、試してみたけれど…続かないと感じていませんか?
「歩行瞑想に興味を持って始めてみたものの、どうもピンとこない」「いつの間にか普通の散歩になってしまう」「忙しくて時間が取れない」など、継続が難しいと感じている方もいらっしゃるかもしれません。
座って行う瞑想と同様に、歩行瞑想も継続することで様々な効果を実感しやすくなります。しかし、「続けよう」と思う気持ちとは裏腹に、日々の生活の中で実践を定着させるのは簡単ではない場合もあります。
この記事では、歩行瞑想が続かないと感じてしまう主な理由を探りながら、それぞれの理由に対してどのように考え、実践を工夫すれば無理なく継続できるのか、具体的なヒントをご紹介します。
歩行瞑想とは?改めて基本を確認
歩行瞑想とは、歩くという日常的な動作に「マインドフルネス」の要素を取り入れた瞑想方法です。マインドフルネスとは、「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価や判断を加えることなく、ただありのままに観察すること」です。
座る瞑想では姿勢を静止させることが求められますが、歩行瞑想では体を動かしながら、足裏の感覚、体の動き、呼吸、周囲の音や景色など、歩いている瞬間に起こっている体験に意識を向けます。これにより、心身のリラックスや集中力の向上などが期待できます。
歩行瞑想が続かないと感じる主な理由
歩行瞑想を継続するのが難しいと感じる背景には、いくつかの一般的な理由が考えられます。ご自身に当てはまるものがあるか、確認してみてください。
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効果をすぐに実感できないと感じる: 座る瞑想と同様に、劇的な変化がすぐに現れるとは限りません。目に見える効果を期待しすぎると、「効果がないのかな?」と感じてモチベーションが維持しにくくなることがあります。
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「正しくできているか分からない」という不安: 「ちゃんと集中できていない」「思考ばかりしてしまう」など、自分なりのやり方で良いのか、これで合っているのかという迷いや不安が、実践へのハードルを上げてしまうことがあります。
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忙しくて時間を確保するのが難しい: 特別な時間を確保しなければならないと思い込んでしまうと、多忙な日常の中で実践するのが難しくなります。
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気が散って集中できない、あるいは普通の散歩になってしまう: 歩いていると色々な考え事が浮かんできたり、つい景色や周囲の出来事に注意が向いてしまったりして、「瞑想状態」を保つのが難しいと感じることがあります。
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義務感になってしまい辛くなる: 「毎日〇分やらなければ」と目標設定が高すぎたり、完璧を目指しすぎたりすると、だんだん義務感になってしまい、楽しさやリラックス効果を感じられなくなり、挫折に繋がりやすくなります。
継続するための具体的なヒントと対策
上記の「続かない理由」に対して、それぞれに寄り添った継続のためのヒントをご紹介します。
ヒント1:効果は積み重ね。小さな変化に意識を向けましょう
歩行瞑想の効果は、一度や二度行っただけでは分かりにくいかもしれません。まずは「数週間続けてみよう」という軽い気持ちで取り組み、長期的な視点を持つことが大切です。
そして、大きな効果だけでなく、歩き終えた後に「少し気分がスッキリした」「いつもより足の感覚に意識が向いた」といった小さな変化に意識を向けてみましょう。これらの小さな気づきが、継続のモチベーションに繋がります。
科学的にも、マインドフルネスの実践は脳の構造や機能に変化をもたらす可能性が示唆されていますが、これは継続的な取り組みによって得られるものです。
ヒント2:完璧を目指さない。「意識を向ける練習」と捉えましょう
歩行瞑想は「思考を完全に消す」ことではありません。思考が浮かんできても問題ありません。大切なのは、思考が浮かんできたことに気づき、「あ、今、考え事をしていたな」と受け止めてから、再び意図的に足の感覚や呼吸など、「今、ここ」の体験に注意を戻すプロセスそのものです。
これは筋肉のトレーニングのように、「意識を向ける力」を養う練習です。最初はすぐに気が散ってしまうのは自然なことですから、「これで良いんだ」と自分に優しくなりましょう。完璧を目指すのではなく、「少しでも意識を向けられたらOK」という気持ちで取り組みましょう。
ヒント3:短い時間から。日常の「隙間時間」を活用しましょう
「〇分以上やらなければ意味がない」ということはありません。まずは5分や10分といった短い時間から始めてみましょう。短い時間でも、意識的に歩くことで心身のリフレッシュ効果を得られます。
また、わざわざ特別な時間を設けなくても、通勤中の駅までの道のり、休憩時間の会社の周り、家の中での移動など、普段の歩行に意識を向けることでも実践できます。エスカレーターではなく階段を使う際に足の感覚に意識を向ける、といった短い時間でも有効です。
ヒント4:意識の向け方を柔軟に。五感も活用しましょう
足の感覚に集中するのが難しいと感じる日があっても構いません。その日の気分に合わせて、意識を向ける対象を変えてみましょう。
- 呼吸: 歩くリズムに合わせて呼吸に意識を向ける
- 体全体の感覚: 足だけでなく、腕の振り、体の揺れなど、全身の動きに意識を向ける
- 聴覚: 周囲の音(鳥の声、風の音、車の音など)に意識を向ける
- 視覚: 地面や足元、あるいは前方の景色をぼんやりと眺め、目に映る色や形に意識を向ける(安全に注意!)
このように、意識の向け方を柔軟に変えることで、新鮮な気持ちで取り組めますし、「飽き」を防ぐことにも繋がります。
ヒント5:義務感ではなく、「自分を労わる時間」と考えましょう
歩行瞑想を「やらなければならないこと」ではなく、「忙しい自分を労わるための時間」「心身をリフレッシュするための時間」と捉え方を変えてみましょう。
もし、どうしてもやる気が出ない日があれば、無理して行う必要はありません。お休みしても大丈夫です。数日空いてしまっても、「また明日から始めてみよう」と気軽に再開すれば良いのです。ご自身の心身の声に耳を傾け、「セルフ・コンパッション」(自分への慈悲)を持って取り組むことが、継続のためには非常に重要です。
よくある疑問:継続に関するQ&A
Q:毎日しないと効果がないですか?
A: 毎日行うことに越したことはありませんが、無理であれば週に数回からでも十分効果は期待できます。大切なのは、完全にやめてしまうのではなく、たとえ間隔が空いてもまた再開することです。
Q:数日間、歩行瞑想ができませんでした。どうすれば良いですか?
A: 全く問題ありません。できなかった自分を責める必要はありません。できるようになったタイミングで、また短い時間から気軽に始めてみてください。継続は「毎日続ける」ことだけではなく、「やめてしまってもまた始める」ことも含みます。
Q:モチベーションがどうしても上がりません。
A: なぜモチベーションが上がらないのか、その理由を探ってみましょう。疲れているのかもしれませんし、他のことに気が向いているのかもしれません。無理に「やらねば」と思うのではなく、その日はお休みする、あるいはいつもよりさらに短い時間(例えば3分だけ)歩いてみる、といった柔軟な対応も大切です。
まとめ:小さな一歩から、自分に優しく継続を
歩行瞑想の継続が難しく感じられるのは、あなただけではありません。しかし、その理由を知り、少し考え方や実践方法を工夫することで、無理なくあなたの生活の一部として取り入れていくことが可能です。
効果を焦らず、完璧を目指さず、短い時間から、そして何より自分に優しく。歩くという日常の動作を通じて、心と体に「今、ここ」の感覚を味わう時間を持つことを、ぜひ楽しんでみてください。続けることで、きっと新しい発見や心地よさが待っているはずです。