歩行瞑想Q&Aステーション

「うまくできない」と感じたら?歩行瞑想で完璧主義を手放し、気楽に続けるヒント

Tags: 歩行瞑想, 初心者, 継続, マインドフルネス, 完璧主義, ストレス軽減, 習慣化

日々の忙しさやストレスから少し距離を置き、心身をリフレッシュしたい。そんな思いから歩行瞑想に興味を持たれた方もいらっしゃるかもしれません。実際に試してみて、「なんだかうまくいかないな」「これで合っているのかな」と感じている方もいるかもしれません。

歩行瞑想で「うまくできない」と感じるのはなぜ?

歩行瞑想を始めてみた方の中には、次のような感想を持つ方がいらっしゃいます。

このように感じると、「自分には向いていないのではないか」「やり方が間違っているのではないか」と不安になったり、落ち込んだりしてしまうかもしれません。

しかし、これらの感覚は、歩行瞑想に限らず、マインドフルネスの実践においてはごく自然なことです。そして、「うまくできない」と感じること自体が、決して失敗ではありません。むしろ、そう感じている自分に気づけている時点で、すでにマインドフルネスの一歩を踏み出しているとも言えるのです。

歩行瞑想に「完璧」は存在しない理由

多くの方が、「瞑想=無心になること」あるいは「何か特別な深い状態に達すること」と考えてしまいがちです。しかし、マインドフルネスとしての歩行瞑想の目的は、「今ここ」で起こっていることに、意図的に、評価を加えずに注意を向けることです。

つまり、私たちの心は常に動き、思考は自然に浮かんでくるものです。脳科学的にも、何も意図しないときには「デフォルトモードネットワーク」という、過去を振り返ったり未来を予測したりする脳の領域が活性化することが知られています。思考が浮かぶのは、脳の自然な働きなのです。

したがって、歩行瞑想中に思考が浮かんできても、それは失敗ではありません。大切なのは、思考が浮かんできたことに「気づき」、その思考を「良い」「悪い」と評価したり、深追いしたりせずに、再び歩くという行為や身体感覚にそっと意識を戻すことです。

「無心にならなければ」「集中し続けなければ」と完璧を目指すこと自体が、かえって心をざわつかせ、実践を苦しいものにしてしまうことがあります。「うまくできているか?」と自分自身を評価する心もまた、手放したい対象の一つと言えるでしょう。

「完璧主義を手放す」ための具体的なヒント

もしあなたが歩行瞑想を試してみて、「うまくいかない」と感じているなら、それはあなたが真面目に、完璧に取り組もうとしている証拠かもしれません。少し肩の力を抜いて、次のようなヒントを試してみてはいかがでしょうか。

  1. 期待値を下げる: 最初から「深いリラックス感を得る」「完全に無心になる」といった高い目標設定をしないことです。まずは「歩く間、数回でも足の裏の感覚に意識が向けばOK」くらいの気持ちで始めましょう。
  2. 「〜ねばならない」を捨てる: 「こう歩かなければならない」「これを感じなければならない」といった固定観念を手放しましょう。あなたが今、歩きながら気づいていることに意識を向けるだけで十分です。
  3. 思考が浮かんでも「ああ、考えているな」と気づくだけで十分: 思考は洗濯物のように次々と浮かんでくるのが自然です。大切なのは、思考に気づき、それを「失敗」と判断せず、「ああ、今私は仕事のことを考えているな」「夕食の献立を考えているな」のように、ただ観察することです。そして、優しく意識を足の裏や呼吸に戻します。
  4. 「気づき」の対象を広げてみる: 足の裏の感覚に集中するのが難しければ、聞こえてくる音、肌に触れる風、見える景色など、他の五感に意識を向けてみましょう。一つの対象に固執せず、気楽に色々な感覚を味わってみるのも良い方法です。
  5. 短い時間から始める: 長時間集中しようとすると、かえってプレッシャーになります。まずは5分、10分といった短い時間から始めてみましょう。短い時間でも、意識的に歩くことで心身のリフレッシュ効果は期待できます。
  6. 自分自身を評価しない練習をする: 「今日はよくできた」「今日は全然ダメだった」のように、自分の実践を評価するのをやめてみましょう。ただ、「今日はこんな感じだったな」と、ありのままを受け止める練習をします。これは、日常生活における自己肯定感を高める練習にも繋がります。

継続のためのメッセージ

歩行瞑想は、特定の目標を達成するための「トレーニング」というよりは、「今ここ」にある自分の心身の状態に気づき、受け入れる練習です。うまくいかないと感じる日もあれば、少し深く集中できる日もあるでしょう。その波があることを受け入れ、完璧でなくても、ありのままの自分と歩いている時間を受け入れることが大切です。

もし「うまくできないな」と感じたら、それは立ち止まるサインではなく、「完璧を目指さなくても大丈夫だよ」という自分へのメッセージだと捉え直してみてください。そして、また次の一歩を踏み出すときに、少しだけ意識を向けてみましょう。

気楽に、そして継続的に実践することで、歩行瞑想はきっとあなたの日常生活に穏やかさと新しい気づきをもたらしてくれるはずです。